ジャパニーズ・ヘヴィー・メタルを代表するバンドの1つX-RAYがデビューデビュー35周年を記念し、6月20日に10枚組ボックスセット『X-RAY 35TH ANNIVERSARY COMPLETE BOX~完全制覇~』をテイチクエンタテインメントより発売する。その豪華10枚組ボックスセットのより詳しい内容が明らかになった。
まず、収納されるディスクは全部で10枚。DISC-1にデビュー・アルバム『魔天~Hard Section』、以降、DISC-2がセカンド・アルバム『Tradition Breaker~伝統破壊』、DISC-3にミニ・アルバム『Outsider』、DISC-4『Shout!』、DISC-5『Strike back』DISC-6『First And Final Live Concert』と、正規にリリースされたオリジナル・アルバムを全て収納。そしてそれらは限りなく発売当時に近いかたちで再現された紙ジャケット仕様で、オビまでも細部に渡り限りなくオリジナルに近い内容が再現されていている。更に全ディスクにおいてオリジナル・アナログ・テープからのリマスタリングを実施し、音もパッケージも素晴らしい仕上がりになっている。
そしてDISC-7はシングルなどアルバム未収録を全て収録した『愛のヒーロー / HUMAN DOG / GRAND METAL LIVE』となり、もちろん紙ジャケット & リマスタリング。ここまでで正規発売された音源は全てコンプリートされている。
注目すべきは完全未発表ばかりを集めたDISC-8,9,10だ。
『From The Dawn To The End』と名付けられたDISC-8には、メンバー秘蔵のデモ音源やライブ音源が満載!古くはデビュー前の1981年の音源から始まり、年代順に並べられている。特に正式にレコーディングされなかった「Through The Night」「Hard Times」「Sniper」など、当時のファンにはたまらない作品も世界初音源化となっている。
『Last Rehearsal For :FIRST AND FINAL:』と名付けられたDISC-9は、その名のとおり1986年に郵便貯金ホールで行われたラスト・ライブのゲネプロの音源となる。この日はキーボードの方がスケジュールの都合で不参加であったため、アキラ、シン、OZMA、ROGERの4人の演奏による音源となっている。そのためキーボードのフレーズを湯浅晋がギターで演奏していたりと、より "黄金の4人" の演奏がリアルに響く内容となっている。DISC-6がそのライブの本番を収めた音源となっているので、直前のリハーサルと本番を聴き較べることができるという、熱心なファンにとっては夢のような音源だ。箇所箇所にアキラの進行を説明する声が入っているのも聴きどころの1つ。
そして、DISC-8,9の2作品は、2018年5月にギタリスト湯浅晋を中心にマスタリングが行われた。つまり、湯浅晋の思いがたっぷりと詰まったX-RAYとしてのニュー・リリースと言えるのだ。
『Beyond :FIRST AND FINAL:』と名付けられたDISC-10は唯一のDVD。しかしながら、このDVDこそが今回のBOXの目玉と言っても過言ではない。
東京でのラスト・ライブとなった1986年の郵便貯金ホールでのコンサートは当時ポリドール社よりVHSのビデオ作品として発売された。しかし、現在はなかなか手に入れる事ができない状況である。そんな中、このDVDは同日のライブを当時のスタッフが客席から撮影した貴重なライブ映像作品で、これまでのファンのみなさんのモヤモヤを一気に吹き飛ばすような内容となっている。民生機のカメラで撮影され、しかもそのカメラのマイクで収録された音声での作品であるが、逆にそれが見どころと言える。曲やパフォーマンスの見せ場の分かっているスタッフが撮影した映像は、ファンのみなさまが「見たい!」と思うところをしっかりと捉えている。何もいじっていない、客席に聴こえて来るそのままの音も、当日の会場の興奮のボルテージをリアルに収めている。一部画面にノイズが入ったり、手ブレしたり、音も歪んだりしているが、そんなことを遥かに超越した歴史的作品だ。当然ネットにも一切出ていない。湯浅晋曰く「これが本当に見てもらいたかった映像で本当に貴重な作品だ!」と。
なお、楽屋風景や、特典映像として当日のリハーサル映像も収められている。必見。
そして、各DISCの内容以外にも特筆すべき点は多い。今回の35周年ツアーには参加していないギタリストの湯浅晋が、ここでも深く関わっていることが明らかになった。
まず、ボックスのパッケージに燦然と輝くX-RAYの新しいロゴ。こちらは湯浅晋が考案した新しいロゴだ。背景までも含めて細部にこだわった新ロゴは本当にカッコ良く、X-RAYというバンドの存在意義を明確にしている。
続いて購入した人しか見る事ができないブックレット。こちらが予想以上の豪華さ+高い資料性を誇る読み物となっている。具体的に何が書かれているかというと、湯浅晋からのファンのみなさんへのメッセージ、ヴォーカル藤本朗、ベース臼井OZMA孝文、ドラム高橋ROGER和久によるこのボックスへの思いや、X-RAYの歴史を振り返るそれぞれの文章。更にはスペシャル・ゲストとして35周年ツアーに参加が決定したEARTHSHAKERの石原 "SHARA" 慎一郎氏からのメッセージも読むことができる。
そして"HISTORY OF X-RAY"と名付けられた7期に渡る在籍メンバーの変遷紹介。ここではどの時期にどの音源がレコーディングされたかも明記されており、非常に興味深い。更に 臼井OZMA孝文による全ディスクの解説と続く。特にDISC-8、9、10についてはたっぷりとページを割き、細部に渡って様々な背景が記載されている。非常に資料としての価値も高いブックレットだ。
その他、当時のライブやデモが収録されていたカセットテープや、ライブのチケット、チラシなどの写真、そして、貴重なメンバー所有のスナップ写真も満載。この充実した内容で12,000円は破格とも言えよう。